“印象派はこうして世界を征服した”・・・ 商人の視点でとらえた印象派絵画の歴史
真実としては、美をお金に換算することは難しい。でも、金銭で取引される限り値段が付く。それも高額で取引されるものがあり、その代表格が印象派絵画だ。
有り余るお金を持っている人間は、いくら高価でも手に入れようとするし、値上がりを見込んで投機対象とみなす人間も多額のお金を投じて購入しようとする。美に惹かれるというより、ステータスシンポルとして求める人間もいる。そしてそこにつけいる商売人。絵画がいかに価値があるのか、あの手この手で売り込む。
いずれも容易に想像できる話。
今でこそ印象派絵画は、誰もが優れた美術品だと認め、安定した金銭価値で取引きされるようになっているが、19世紀後半、生まれたばかりのそれは、異端と目された、保守的な人々から激しい攻撃を受けた。この本は、その時代から今日までの印象派絵画取引きの歴史を総括している。
読んでいると、どうしても證券の売買で短期利益を追求する金融機関を連想してしまう。
最初は異端で後に高額で取引きされる投機対象となる、という歴史は印象派以降のモダニスム絵画全般に言えるらしい。やってることに進歩ないなー人間って。
なお著者は、破格の値がつくようになったオークションシステムが確率された近年の歴史への言及よりも、19世紀末と20世紀前半、印象派絵画に対する欧米各国の態度の違いを述べることに多くのページを費やしている。当時の各国の情勢が分かっていなければ理解できない部分であり、それを説明しているところにこの本の価値がある。
この本って、こんなもんかなー?
知性刺激度 ★★☆☆☆
難解度 ★☆☆☆☆
社会改善志向 ★★☆☆☆
娯楽度 ★☆☆☆☆
買う価値 ★★☆☆☆
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