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2009年8月28日 (金)

"ダーウィンが信じた道" ・・・ 社会とつながっている科学

32270270_200w ダーウィンが人種差別に対しすさまじい怒りを感じ、その怒りのエネルギーこそが、かの有名な “種の起源” を生み出したのだと、本書を読んで知り、驚いた。

近年、X染色体とY染色体が持つDNA配列が解明され、現生人類が同一種として1組の男女から生まれた子孫であるに、科学的立場から異論を唱える人はまずいないだろう。しかしダーウィンの時代は、白人と有色人種が最初から異なる種として地球上に生まれたのだと主張する科学者(少なくともそう目されていた人達)が多く、それが、人種差別が許される根拠とされていた。

外観の差だけに基づく科学的根拠が乏しい差別主張に対し、ダーウィンは地道に科学的情報を集めてそれに対抗した。体調を崩しながらも。

もしもダーウィンがDNAのことを知り、その解明によって自分の考えが正しかったことが確認できたと知ったらどんなに喜ぶことだろう。

そう思う一方、ダーウィンの時代にDNA科学があれば、さほどの議論も必要なかったことだろう。あるいは、DNA科学があまりに易々と人類が兄弟であることを証明できるが故に、自らの手でそれを証明しようという情熱など生まれなかったかもしれない・・・

本の中でも度々出てくるが、結局、種とは何で、種が違うということは具体的にどういうことなのだろう?

本の中でも、’種’ の定義はあいまいで、主観的根拠に基づいて同種/異種が判断されてきた歴史があるというように記述されていた。やはり生殖が可能な範囲が同種で、そうでなければ異種という考え方で正しいのだろうか? それとも現代でも種の定義はあいまいなままなのだろうか? そして、今のDNA科学は、生殖可能か不可能かを判定できるのだろうか? 本書の主題とはちょっと関係無いだろうが、疑問が残った。

本の中で、ダーウィンの家系は、祖父の時代から人種差別撤廃運動の先頭に立ってきたことが書かれている。ダーウィンだけでなく、親族一同の行動はまるで英雄伝で、読んでいて心を動かされた。

翻って周囲を見るると、社会問題への関心は、残念ながら高くないと言わざるをえない。それに科学者達はどうだろう?

この本って、こんなもんかなー?

 知性刺激度    ★★★☆☆

 難解度       ★☆☆☆☆

 社会改善志向   ★★★★☆

 娯楽度       ★★★★☆

 買う価値      ★★★★★

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2009年8月18日 (火)

"ミラーニューロン" ・・・ 科学関係の読み物はこうでないと

_200w_2 ‘ミラーニューロン’ という言葉は、本屋で "ミラーニューロンの発見" という本を目にして知った。同著の導入部を読んで興味が湧いた。

ところが、科学的な内容ならば当然予想される図解が、本をパラパラめくる限り皆無。これはどこかオカシイ。と思い帰宅してネット検索。するとすぐに今回の "ミラーニューロン" が現れた。高価なので図書館で買ってもらい読み始めた。

なかなか良い本だ。ミラーニューロン存在の確認に至る経緯とそれが存在する理由を、読者に伝えようとする著者の真面目さが伝わってくる。翻訳者も偉いと思う。言葉が慎重に選ばれている。

ただし流し読みできるような本ではない。同じ文章を繰り返し読み、一言一言の意味を噛みしめながら読み進まなければ、内容を理解できない。科学的知見や意見を説明するためには、ある程度堅苦しくなるのはしょうがない。

図や資料も多い。ただし本文で使われている脳の部位を表す言葉が実際どこを指すのか、載ってる図では簡単には分からなかったりする。

でもそれがかえって良いのかもしれない。自分で調べようという気になるから。

おそらくミラーニューロン理論?の結論だけを述べるのなら、はるかに薄っぺらで、科学本の醍醐味を失った本になっていたことだろう。本書の書き方は正解だ。

で、結局、読み終える前に良書と判断して購入。

この本って、こんなもんかなー?

 知性刺激度    ★★★★☆

 難解度       ★★★☆☆

 社会改善志向   ★☆☆☆☆

 娯楽度       ★★☆☆☆

 買う価値      ★★★★★

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"アーリア人" ・・・ 中央アアジアとイランを中心とした歴史を勉強

_200w "アーリア人" という言葉からは、どうしてもヒトラーが唱えた選民思想を連想してしまう。図書館の新着図書コーナーでこの本のタイトルが目に留まって借りてきたのもそれが理由。

ただし、ヒトラーは "アーリア人" という言葉を誤って使っていたのであって、この本の著者もそういう誤解が世間にかなり浸透していることを承知し、本のテーマとは関係無いものの、そのことを親切に教えてくれる。

高校の世界史は欧米と中国が舞台。中央アジアとその周辺の扱いは疎か。そもそも文字を持たなかった民族が多く、その歴史をたどることは難しいようだ。

本書は、貧弱ではあっても、広範な資料から、その地方を発祥とする遊牧民イラン系アーリア人を中心に据えて歴史を概観したもの。馴染みが薄いこの地域の歴史を知ることは面白い。

腕力や戦闘能力が世界の勢力図を決める時代、馬を利用することを知った遊牧民の力は大きかったようだ。そのため、人口や社会全体としての生産力が低くても、十分ヨーロッパと渡り合えたらしい。

この前、やはり馴染みの無いコーカサス地方の地図を見ながら “ロシアン・ダイアリー” を読むことで、その地域の地理がちょっと頭に入ったが、今回は中央アジア周辺の勉強になった。

この本って、こんなもんかなー?

 知性刺激度    ★★☆☆☆

 難解度       ★★☆☆☆

 社会改善志向   ★☆☆☆☆

 娯楽度       ★★☆☆☆

 買う価値      ★★★☆☆

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